ここでは2024年9月に、5年ぶりに発表された調査結果(※)などから、福祉施設等(以下、医療,福祉)における若年労働者の雇用状況などをみていきます。
上記調査結果および過去2回の調査結果から、医療,福祉の事業所における若年労働者(調査基準日現在で満15〜34歳の労働者)の有無別割合をまとめると、表1のとおりです。

2023年の若年労働者がいる医療,福祉の事業所割合は71.5%で、2018年から2.2ポイント増加しました。ただし2013年よりは低い状況が続いています。
なお、2023年の全体の調査結果をみると、若年労働者がいる事業所割合は73.6%で、2018年より2.4ポイント減少しています。医療,福祉は全体の調査結果と比べると、若年労働者がいる事業所割合が低いことがわかります。
事業を長期的に継続していくには、若年労働者の採用・定着が重要です。上記調査結果から、若年労働者がいる医療,福祉の事業所のうち、若年労働者の定着のための対策を実施している割合をみると、70%を超えています。また、若年労働者の定着のための対策を実施している医療,福祉の事業所で、最も効果のある対策をまとめると、表2のとおりです。

若年正社員の定着に最も効果のある対策は、職場での意思疎通の向上とする事業所が23.6%で最も多くなりました。次いで、本人の能力・適性にあった配置が15.4%、採用前の詳細な説明・情報提供が12.7%となっています。
正社員以外の若年労働者では、職場での意思疎通の向上が22.1%、仕事と家庭の両立支援が19.2%などとなりました。
上記以外の対策では、労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励も若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに10%を超えています。
少子化の進展等により若年労働者は今後も減少を続けます。人材不足への対応として、高齢者などの採用もさらに進める必要があるでしょう。幅広い年代の労働者に定着してもらうためには、働きやすい環境を整えていくことが今後も重要になるといえます。
(※)厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」
産業、事業所規模別に無作為抽出した5人以上の常用労働者を雇用する事業所17,355事業所、当該事業所で就業している若年労働者22,958人を対象にした、2023年10月1日時点の状況についての調査です。
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