令和6年分の年末調整関係書類で、変わるところを教えてください。
― M社 ―
M社総務経理部まいと顧問税理士が、打ち合わせをしています。
今年の年末調整、定額減税とかあって今から憂鬱なんですが……。
そうですよね。
年末調整関係書類では、「年末調整に係る定額減税のための申告書」が増えるくらいですか?
確かに増えますね。
国税庁から提供される様式では、配偶者控除等申告書と兼用していますので、こちらに記載すれば、同一生計配偶者は別途「年末調整に係る定額減税のための申告書」を提出してもらう必要がありませんね。
また、定額減税の適用を受ける扶養親族についても、いわゆる「マル扶」(扶養控除等(異動)申告書)に記載していれば、この申告書を提出する必要はありません。
弊社では、月次減税の際にも「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出はありませんでしたから、ないと思っていればよいですよね。
おそらくは、そうでしょうね。
では、あとは様式に変更はありませんか?
様式の変更としては、まず、先ほどお話しした兼用となった「配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」に、配偶者に係る定額減税の記載欄が追加されています。
同様に、基礎控除申告書には、本人に係る定額減税の記載欄が追加されている点にもご留意ください。
記載例とか、ありますか?
はい。
国税庁からも公表されていますので、そちらもご参考いただくとよいでしょう。
他はありますか?
いわゆる「マル保」(保険料控除申告書)の「あなたとの続柄」欄が削除されていることですかね。
記載欄が少なくなるのは助かります。
確認事項が減りますから。
そうですね。
記載欄が少なくなるといえば、令和7年分からマル扶について「簡易な申告書」ができました。
具体的には、前年の記載事項から異動がなければ、最低限の記載で済む、というものです。
最低限の記載とは?
提出する本人の氏名、住所又は居所、マイナンバー、異動がない旨の記載です。マイナンバーは記載が必要な場合、ですね。
それを別の用紙に記載してもらうのですか?
マル扶に記載してもらえれば「簡易な申告書」になりますよ。
異動がない旨の記載は、どこにするのですか?
欄外ですね。
欄外……。
異動がない、というのは、どういうことでしょうか。所得の見積額とか変わりますよね?
そうですね。
所得の見積額は、対象範囲内であれば金額が変わっても、異動がないものとできます。たとえば、お子さんを控除対象扶養親族としている場合に、所得の見積額が30万円から40万円に増額しても48万円以下ですので、異動がない、という判断ですね。
なるほど。
じゃあそのお子さんが18歳が19歳になった場合は?
特定扶養親族に該当した場合、ということですね。
この場合は異動したことになりますので、簡易な申告書を提出することはできません。
逆も然りです。特定扶養親族から外れる場合、老人扶養親族に該当するなどの年齢の変動による控除区分の変動は、異動あり、と判断します。
判断を誤りそうですね。
そうですね。
異動がある場合には、すべてを記載したマル扶の提出が必要ですからご注意いただきたいです。
それと、今回は異動の確認が前年の令和6年分ですから、年末調整の際に令和6年分のマル扶を返却するときに確認してもらえばよいですが、今後連年で異動がないとなると、最後にすべてを記載したマル扶の写しなどをもって異動がないかの確認をしてもらう必要があります。また異動がない場合には、そのマル扶で源泉徴収を行っていただくことになりますので、確認できる状態にしておく必要がある点にもご留意ください。
ん?
じゃあずっとそれを管理し続けないといけない、ということですか?
ご理解のとおりです。
システムなどで整備されていれば、そのデータを繰り越していけばよいと思いますので負担は少ないかと思いますが、書面ではどう管理していくのかを検討される必要はあるでしょうね。
電子化を再度検討する必要がありそうですね。
部長に確認してみます。
承知いたしました。
私からも連絡いたします。
よろしくお願いします。
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