野中経営グループ

文書作成日:2025/02/05
保険料贈与による生命保険加入と贈与者が亡くなった場合の取扱い

保険料贈与による生命保険加入のメリットを教えてください。

Q
今月のご相談

 相続対策として子への現金贈与を検討していたところ、懇意にしている保険会社の方から「贈与した資金で生命保険に加入してはどうか」と提案を受けました。贈与した資金で下記のように生命保険に加入した場合、どのようなメリットがありますか。
 また、保険料払込期間中に私(贈与者)が亡くなった場合、保険契約はどうなりますか。加入を検討するにあたり、注意点があれば教えてください。

【検討プラン】
契約者(保険料負担者) 被保険者 受取人
子(受贈者) 私(贈与者) 子(受贈者)
  • 保険種類:終身保険
  • 保険金額:5,000万円
  • 年間保険料:430万円(10年払込)
A-1
ワンポイントアドバイス

 今回の検討プランに加入した場合のメリットとしては、死亡保険金を納税資金などに充てることができる点や、贈与されるお金の使い道を明確にできる点が挙げられます。詳しい内容や注意点については、詳細解説をご確認ください。

A-2
詳細解説

 保険料贈与による生命保険加入のメリットと、被保険者死亡時の取扱いについて回答します。

1.生命保険活用のメリット

(1)相続発生時、死亡保険金を納税資金などに充てることができる

 死亡保険金は、請求書類に不備などがなければ1〜2週間程度で支払われます。お子様は受け取った死亡保険金を相続税の納税や、医療費、葬儀代などの支払いに活用することができます。

(2)贈与金の使い道を明確にできる

 受贈者が未成年の場合や、贈与後の資金管理に不安がある場合の資金の使い込み防止に有効です。

2.加入検討時の注意点

(1)元本割れの可能性

 解約を行う場合の意思決定者は契約者(お子様)となります。お子様が保険料払込期間中に途中解約をした場合は、元本割れとなる可能性があります。

(2)贈与の事実を明確にする

 贈与の事実が確認できない場合、実質的な保険料負担者が贈与者とみなされ、贈与自体が否認される可能性があります。そのため、贈与契約書を作成する、受贈者の銀行口座から生命保険料を支払う、受贈者自身が贈与財産の管理を行うなどの対応が必要となります。専門家に相談の上、ご検討ください。

3.被保険者死亡時の取扱い

 死亡保険金受取人であるお子様が生命保険会社に連絡し、死亡保険金の請求手続きを行います。今回のケースでは、被保険者(贈与者)の死亡により死亡保険金がお子様に支払われ保険契約は消滅します。保険契約の消滅に伴い保険料の払込も終了するため、その後の保険料負担は発生しません。受け取った死亡保険金は、お子様の一時所得として所得税の対象となります。課税関係にもご注意ください。

 このように、検討すべき事項は様々あります。相続対策についてのご不明な点は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。


 

このページの先頭へ