寒い季節の体調管理に欠かせないのが、栄養バランスが優れた食事です。なかでも果物は、世界の食事指針でも健康な食習慣に欠かせない重要な食品だとされています。今回は、果物のパワーについて改めて深掘りし、健やかな毎日に役立つ情報をお届けします。
厚生労働省と農林水産省が策定した「食事バランスガイド」などでは、果物の摂取目標を1日200g以上としています。厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」(※1)によると、1人当たりの果物摂取量は60代では約110g、70代では約152g、80歳以上では約136gと、目標の200gに満たない状況です。
世界に目を向けてみると、週ごとの果物の摂取回数は、フランス11.6回、ドイツ11.3回、日本5.9回という調査結果となっています(※2)。他国と比べると、日本では十分に果物が摂られていない状況です。
果物200gを摂取する目安は、次のとおりです。
ブドウ:1房
キウイ・ミカン:2個
ただし、この量はあくまで目標の摂取量ですので、自分の体調や持病などを考慮して、調整する必要があります。
果物には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの他、ポリフェノール類、カロテノイド類と、多様な機能性をもつ成分を含んでいます。それはどんな働きをもち、どんな果物に含まれているのでしょうか。
- ビタミンA
健やかな粘膜や皮膚を守る栄養素で、外敵から身体を守るバリア機能を高める。
メロン、柑橘類、ブルーベリー、キウイなどに含まれている。 - ビタミンC
コラーゲンの合成を助け、皮膚の健やかさを保つ栄養素で、免疫力アップを促す。
柑橘類、柿・イチゴ・パイナップルなどに含まれている。 - ビタミンE
抗酸化作用をもち、免疫力低下を防ぐ。ビタミンCと一緒に摂るとパワーがアップ。
柑橘類、アボカド、ブルーベリー、桃などに含まれている。 - ポリフェノール類
主に果物の色素や渋みの成分で、抗酸化作用の他、生活習慣病の予防に役立つと考えられている。
柑橘類、桃、ブルーベリー、ブドウなどに含まれている。 - カロテノイド類
果物の黄色・赤色の天然色素成分で、抗酸化作用があり、酸化ストレスを抑える力が期待できる。
ミカン、柿、マンゴー、ビワなどに含まれている。
果物を摂るタイミングは、果物の栄養をしっかり吸収できる食前または食間がおすすめ。通常の食事が2〜4時間かけて胃から腸へ届くのに比べ、酵素を豊富に含む果物は20分〜40分で腸に届き、素早く栄養を補給できるといわれています。
アレルギー等がある場合を除き、「おやつを果物にかえる」、「1日1回ぐらいは果物を口にする」など、果物を摂る習慣を取り入れたいものです。栄養バランスを整えて、寒い季節もイキイキとお過ごしください。
(※1)厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
(※2)うるおいのある食生活推進協議会 FACT BOOK果物と健康(六訂版)
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