野中経営グループ

文書作成日:2018/06/19

治療と仕事の両立支援の重要性と制度導入時に活用できる助成金

 いまや2人に1人が罹患するといわれるがんや、メンタルヘルス不調による精神障害者の増加により、障害や傷病の治療と仕事の両立を支援することが企業に求められるようになってきました。そこで今回は、企業における両立支援の取組みのポイントがまとめられた「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)の内容を紹介すると共に、治療と仕事の両立支援制度を導入する際に活用できる助成金についてとり上げます。

1.ガイドラインの内容
 医療技術の進歩により、がんや脳卒中などの疾病を抱え、反復・継続した通院による治療を行いながら、就労を継続する人が増加しています。そこで厚生労働省ではガイドラインを策定し、疾病を抱える人々が治療と仕事を両立できる環境の整備を推進しています。このガイドラインでは、企業における意識啓発のための研修や、治療と仕事を両立しやすい休暇制度・勤務制度の導入など、両立支援の取組みがまとめられており、企業が両立支援を進める際の参考にすることができます。
 また、厚生労働省は先日、このガイドラインの新たな参考資料として、「企業・医療機関連携マニュアル」と「難病に関する留意事項」を追加しました。ガイドラインに掲載されている様式例の作成ポイントや記載例、いわゆる「難病」と呼ばれる疾病に罹患した従業員に対する留意事項が加えられています。

2.障害者雇用安定助成金(障害や傷病治療と仕事の両立支援コース)
 ガイドライン等に沿って治療と仕事の両立支援のための制度を導入する際に活用できるものとして、障害者雇用安定助成金(障害や傷病治療と仕事の両立支援コース)が設けられています。この助成金は以前からあったものですが、平成30年4月より、支給要件等が一部変更になり、環境整備助成と制度活用助成という2つのコースに区分されました。

[環境整備助成]
 従業員の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための柔軟な勤務制度や休暇制度を導入し、かつ両立支援に関する専門人材を新たに配置した場合に助成されます。この助成金を利用するためには以下のすべてに該当する制度を導入する必要があります。

(1)現在雇用している対象従業員または新たに雇い入れる対象従業員の、障害や傷病に応じた治療のための配慮を行う制度であること
(2)雇用形態を問わず適用される両立支援制度であること
(3)当該制度が実施されるための合理的な条件が労働協約または就業規則に明示されていること

 なお、専門人材とは、企業在籍型企業適応援助者または両立支援コーディネーターのことをいい、平成30年4月以降に、雇用する従業員に専門人材を養成するための研修を受講・修了させる必要があります。

[制度活用助成]
 がん等の反復・継続して治療が必要となる傷病を抱える従業員のために、両立支援コーディネーターを活用して社内制度を運用し、就業上の措置を行った場合に助成されます。

 どちらのコースにおいても、提出期限までに、本社の所在地を管轄する労働局へ計画を提出する必要があります。助成金の活用にあたっては、これらの他にも様々な要件がありますので、厚生労働省のホームページで最新情報を確認するか、最寄りの労働局もしくは当事務所までお問い合わせください。

 長期間に亘る疾病の治療では、治療費が必要になることで経済的な不安を抱えることもあります。自社で対応できる範囲のことを考え制度化することにより、従業員は安心して働くことができるようになります。治療と仕事の両立支援については、いま、対象となる従業員がいなくても、積極的に検討していきたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「治療と仕事の両立支援に関するガイドラインの新たな参考資料を公表します」
厚生労働省「障害者雇用安定助成金(障害や傷病治療と仕事の両立支援コース)」
厚生労働省「雇用・労働分野の助成金のご案内(詳細版)」「障害者雇用安定助成金」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




マイナンバーの利用により届出が不要となった従業員の住所変更2018/06/12
労働基準監督署による事業所調査のうち、申告監督はわずか13.0%2018/06/05
時間外労働削減に向けた取組を行う際に中小企業が活用したい助成金2018/05/29
マイナンバー届出が強化された雇用保険の届出2018/05/22
時間単位の年次有給休暇を導入する際の手順2018/05/15
外国人留学生を採用・就労させる際の留意点2018/05/08
今年度の地方労働行政運営方針が策定されました2018/05/01
65歳超の雇用促進を行う際に活用したい助成金2018/04/24
3年ぶりに改定された平成30年度の労災保険料率2018/04/17
雇い入れ時の健康診断と企業における健康情報の取扱い2018/04/10
平成30年4月から障害者の法定雇用率が引上げられました2018/04/03
届出の重要度が増す雇用保険手続きでのマイナンバー2018/03/27
有期契約労働者の雇止めを行う際の留意点2018/03/20
今後増加が予想される副業・兼業と通勤災害の考え方2018/03/13
平成30年3月分から変更となる健康保険料率・介護保険料率2018/03/06
労災保険特別加入者の給付基礎日額変更2018/02/27
平成30年1月より変更となった健康保険の被扶養者異動届の取扱い2018/02/20
平成30年度の雇用保険料率は平成29年度から変更なし2018/02/13
平成30年度以降、拡充などの変更が予定されているキャリアアップ助成金2018/02/06
1月10日よりスタートした事業所が利用できる「ねんきん加入者ダイヤル」2018/01/30
年次有給休暇の平均取得日数は9.0日2018/01/23
広がる人材不足の状況と求められる働き方改革の取組2018/01/16
ハローワークへの大卒等の求人公開日 4月1日に前倒し2018/01/09
障害者雇用 雇用人数・実雇用率ともに過去最高を更新2018/01/02
新卒採用市場「売り手市場(学生側が有利)」の認識が93.0%2017/12/26
労働者名簿、賃金台帳を始めとした人事労務に関する書類の保存期間2017/12/19
今月中旬以降に日本年金機構から「マイナンバー等確認リスト」が届くことがあります2017/12/12
平成29年の大卒の初任給は206,100円2017/12/05
来年1月より変更となる従業員の募集や求人の申込みをする際のルール2017/11/28
11月14日に来年の裁判員候補者に対する通知が発送されました2017/11/21
押さえておきたい介護休業給付金の概要2017/11/14
パートの約7割が希望する今後の働き方はパート2017/11/07
新卒者が3年以内で会社を辞める割合は高卒で40.8%、大卒で32.2%2017/10/31
育児休業の社会保険料免除制度の申出の手続きが追加になります2017/10/24
法定休暇の前倒し付与等の検討を求める労働関係法の指針の改正2017/10/17
従業員数が50人以上の事業場は、衛生管理者の選任と衛生委員会の設置が必要です2017/10/10
緊急要請された職場における死亡災害撲滅に向けた取組み2017/10/03
11月に実施される過重労働解消キャンペーン2017/09/26
今年度も大幅な引上げとなった地域別最低賃金2017/09/19
重大事故増加で見直しておきたい自転車通勤等の取扱い2017/09/12
今年の引上げで固定化される厚生年金保険の保険料率2017/09/05
労基署是正指導により支払われた割増賃金支払額 前年度より大幅に増加2017/08/29
マタハラ防止対策 企業規模が小さくなるほど取組み割合が低い結果に2017/08/22
長時間労働が疑われる事業場への監督指導 43.0%が違法な時間外労働という結果に2017/08/15
ストレスチェック制度 8割強の事業場で実施2017/08/08
精神障害による労災請求件数が過去最多を更新2017/08/01
今後、関心が高まる障害者雇用納付金制度の概要2017/07/25
働き方改革の中で注目を浴びるフレックスタイム制導入のポイント2017/07/18
増加を続け、深刻さが増す「いじめ・嫌がらせ」の相談件数2017/07/11
ストレスチェック実施後の対策に活用できる助成金2017/07/04
ハローワークを通じた障害者の就職件数が8年連続で前年を更新2017/06/27
今後、同一労働同一賃金を進める際に活用できる助成金2017/06/20
 

このページの先頭へ