野中経営グループ

文書作成日:2018/10/20


 2022年に三大都市圏の生産緑地の営農義務が終了します。生産緑地法の動向にも注目しつつ、宅地化による様々な影響を理解し、将来の土地利用計画を慎重に検討することが重要です。




 父親が生産緑地の指定を受けている農地を所有していますが、私には生産緑地に関する知識がありません。ついては、「生産緑地」と最近騒がれている「2022年問題」について教えてください。




 三大都市圏で生産緑地の指定を受けている農地の大半が、2022年中に30年間の営農義務満了を迎え、自治体に買取り請求ができるようになります。但し、実際に買取られるケースは少ないことが予想されています。買取られない場合には生産緑地の指定が解除され、固定資産税等及び相続税の優遇措置がなくなり、税負担が大幅に増えることになります。このため賃貸住宅への転用や売却が多くなり、不動産市場への供給過多が懸念されています。一方、平成30年に生産緑地法の改正が行われ、緑地の保存に向けての対策も行われています。営農義務満了を迎えるまでに、生産緑地の将来の利用について決断をしなければなりません。




 生産緑地法の改正により、三大都市圏の特定市の市街化区域内の農地等を、宅地化の促進を図る農地等(宅地化農地)と今後とも保全する農地等(面積500u以上)に二分し、後者については、生産緑地に指定し、その所有者に対し税制優遇を与える一方で、農地等として適切に管理することを義務付けました。

≪生産緑地の税制優遇≫
  1. 固定資産税及び都市計画税
     農地評価・農地課税となります。
    (税額のイメージ 生産緑地 数千円/10a 宅地化農地 数十万円/10a)
  2. 相続税
     農業投資価格(農地等が恒久的に農業の用に供される土地として自由な取引がされるとした場合に通常成立すると認められる価格として国税局長が決定した価格 ※20〜90万円程度/10a)を超える部分に対応する相続税額が、その取得した農地等について相続人自らが農業の用に供する場合に限り、納税が猶予されます(猶予される相続税額を農地等納税猶予税額といいます)。なお、特例の申請を受けた農業相続人が死亡した場合、農地等納税猶予税額は免除されます。
≪生産緑地の解除≫
 下記の何れかに該当すれば、市区町村に生産緑地の買取り(時価)申出ができ、申出から3ヶ月以内に所有権移転が行われなかった場合、生産緑地は解除されます。
  1. 生産緑地地区に指定されてから30年を経過したとき
  2. 農業の主たる従事者の死亡又は身体的・精神的障害等により、営農の継続が困難又は不可能になったとき
     生産緑地の多くは、制度が始まった1992年に指定されており、その指定解除が可能となる30年後の2022年には、多くの生産緑地が宅地化すると予測されています。これが「2022年問題」です。その一方で、近年、農地等の緑化機能が重要視されており、国は、その対処策として生産緑地法の改正を行っています。
  3. 生産緑地地区の面積要件を条例で300uまで引下げ可能に。併せて、同一又は隣接する街区内に複数の農地がある場合、一団の農地等とみなして指定可能に(但し、個々の農地はそれぞれ100u以上)。
  4. 生産緑地地区における建築規制の緩和
     設置可能な建築物として、農産物等加工施設、農産物等直売所、農家レストランを追加。
  5. 特定生産緑地制度の創設
     生産緑地の所有者等の意向を基に、市区町村は当該生産緑地を特定生産緑地として指定可能に。指定された場合、市区町村に買取り申出ができる時期は、「生産緑地地区の都市計画の告示日から30年経過後」から、10年延期される。
 生産緑地を解除する場合、固定資産税等が大幅に増加するため、早期に売却又は活用を行いたいところですが、何れにしても供給過剰が懸念されます。一方、生産緑地を延期する場合、その期間が短縮され、かつ建築規制が緩和されますが、人口減少及び少子高齢化が急速に進行する中で、10年後を予測することは簡単ではありません。よって、個々の事情等を考慮した上で、慎重にご決断いただきたいと思います。


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